子宮の教科書 第九十七話
子宮筋腫は女性ホルモンで育つ
子宮筋腫は、女性ホルモンによって育ちます。
女性ホルモンが子宮筋腫を育てていくため、閉経すればそれ以上大きくなることはありません。
ですから、閉経するまでの50歳ぐらいまでに、筋腫が問題になることが多いのです。
この病気は昔からありましたが、昔は子どもを何人も産むことから、あまり問題になる人がいませんでした。妊娠・出産して授乳をしている間は、筋腫はあまり育たないからです。つねに妊娠と授乳をしているので、50歳までに来る生理の回数が少なく、子宮筋腫や子宮内膜症を患って困る人は少なかったようです。
そして、子どもを産んだあとに子宮内膜症や子宮筋腫があったとしても、もう子どももつくらないし、将来子宮のガンも心配だからと、女性ホルモンを出す卵巣を残して子宮だけを取ってしまうという手術もよくされていました。
ところが、今は、40歳代でも子どもがいなくて、毎月生理が来ている方がたくさんいます。40代で結婚はしていない、子どもがいないとなると、仮に子宮筋腫が育っていても、なかなか子宮を取るという判断にはならないので、今は筋腫だけを取る手術も多くなりました。
著者:宗田 聡医師(広尾レディース院長)
引用:31歳からの子宮の教科書(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)